「大草原の小さな家」とローラ・インガルス・ワイルダー

kodomono2016-03-01

最近すっかり本好きになったわが子。

時々オススメを聞かれるので、
その昔、私が読んでいた本を
一緒に読むことも増えました。
昔面白かったからオススメしているわけですけど、
今読むと、違った視点からもものすごく面白いことが多いです。

中でも最近よかったのが、
ローラ・インガルス・ワイルダー
「インガルス一家の物語」シリーズ。
大草原の小さな家」として、NHKが(1975〜83〜断続的に99年)
テレビドラマを放映していたので、ご存知の方も多いでしょう。

私が昔読んでいた原作は、

福音館書店
「大きな森の小さな家」
大草原の小さな家
「プラム・クリークの土手で」
「シルバー・レイクの岸辺で」

の4巻です。
5巻として「農場の少年」があるのですが、後にローラの夫となる
アルマンゾが主人公で、ちょっと違う話?と思っていました。

あらすじとしては…
アメリカの開拓時代を舞台に、辛い境遇もありながらも、
少女ローラとその家族が、明るくたくましく生き抜く姿を、
60代になったローラが書いた自伝的物語。
再読してみると、この時代の開拓民たちの、次々と襲いかかる
困難や苦労を乗り越える力に、心から驚き尊敬させられます。

それから例えば、私は今のアメリカの銃社会に憂いをもっていますが、
大きな森や、広大な草原にぽつんとある家で幼子を抱えて…
オオカミやクマの脅威にさらされていたとしたら、
渡米時から持っていた銃は、よき友のように思えたでしょう。
そうやって発展してきた社会だから、銃と離れがたい人が多いのでは…
などと考えさせられました。
(でもカナダとの相違はなぜかわかりません…人口…?)

そして再読してのいちばんの驚きは、
続きがあった!というところです。
テレビドラマでは、ローラは大きくなっていったけれど、
最初からドラマは原作と違うし、成長もテレビだけのエピソードで、
本としてはこれで完結なんだろうと、ずっと思っていたのです。
それが、

岩波書店
「長い冬」
「大草原の小さな町」
「この楽しき日々」
「はじめの四年間」

という続編があるではありませんか!

後半があれば、5巻「農場の少年」もシリーズの一冊として納得です。
どうも、福音館がシリーズ前半の、岩波が後半の版権を持っていたことで、
昔は出ていなかった?子供の棚にはなかった?ようなのです。
現在は色んな出版社が出していて、シリーズ通しての出版社もありますが、
イラストが違うので…私としては、本物感はこの2書店にあります。
(元イラストは「しろいうさぎとくろいうさぎ」のガース・ウイリアムズ)
小さな子が読むなら総ルビの、講談社青い鳥文庫がオススメです。

開拓時代の辛い境遇は「長い冬」で最大のピークを迎え、
そのあとの二冊で、一家の生活は豊かに楽になっていきます。
ホッとしたのもつかの間、
早々に結婚したローラの生活を描いた「はじめの四年間」は、
またけっこう読んでいて辛いものがあります。
開拓農業の困難さには、結局森で狩りをしていた時のほうが
良かったんじゃない?なんて思ったりもします。
辛いところもあるけれど、面白くてやめられない魅力に満ちた本…

などと思っていたら、わが子が図書室でこんな本を借りてきました。

「ローラ・インガルス―大草原に生きた女性作家」小学館
ローラの伝記マンガです。
子供向けですが、これを読んだらシリーズへの理解ががぜん深まりました!

この本の解説によると、このシリーズは、
日本では「ローラと一家の愛情物語」のように読まれているけれど、
アメリカでは「開拓時代の歴史物語」として読まれているのだそうです。
なるほどー!

既に著名だった娘ローズのすすめで
シリーズを書くことになったいきさつや
事実を変えて書くことにローラが躊躇していたり、
ローズがローラの編集者よろしく指導していたり、
インディアンと差別の問題…
いろんなことが目からウロコでした。

アメリカ開拓時代の歴史物語」
興味のある方、ぜひ1巻から読んでみてほしいです。
伝記も併読オススメです。

それにしても、子供向けの本を再読…
たぶん私は子供がいなかったらしていないでしょう。
本好きの子のいる境遇に感謝です。